レイアウトを考える③

 
どうも、おはこんばんちは。


レイアウトを考えると題して記事を書いています。

今回は第三回目です。


前回の記事はこちらからどうぞ。
レイアウトを考える①
レイアウトを考える②


さて、今回も

単純化してレイアウトする

という技法を用いてレイアウトを考えて行きたいと思います。


今回は凹型構図を単純化していきます。


水槽と言う限られた空間をうまく活用して見せるのが三角構図、横方向へさらに世界が広がっているかのように見せるのが凸型構図だとします。


では凹型構図はというと、切り立った崖やトンネルの先、いったいその先にはなにが待っているのか、どんな景色が見れるのか。

そういったワクワク感を水槽のさらに奥に想像させることをメインとする構図となります。

そのため、コレまでのレイアウトよりもさらにパーツ数も多くなりますし、バランスを取りつつ、水景を完成させることに関してより技量が必要となる構図です。


それではコレまでと同じように前提条件を記載します。

目標
☆インパクトのある美しい水景

前提条件
①60×30×36cm水槽。
②底床は前景部分の厚さが3cmとする。
③水草などは順調に成長する。
④ヒーターは水槽内に配置する。

以上を前提条件とします。


完成図はこちら。


2次元モデルでこの構図を表現するにはどうしても犠牲にしなければならない部分があります。

それは奥行き表現によく使われる”道”と呼ばれる技法です。

ネイチャーアクアリウムでは砂や小石、または前景草などの小型水草を水槽奥へ向かって連続して配置しつつ、幅を狭めたり、より小さいサイズの物を選択していって表現されたりします。

ダッチアクアリウムではロベリアカーディナリス等を高低差や幅を変えて植栽するライデン通りという技法を用いて表現します。


今回は代案として、赤丸を採用しました。

この丸は、2次元水景での消失点として考えてください。

ココに向かって低床は隆起し、水草や流木、石は小さくもしくは沈んでいくようにします。

ちょっと表現が難しいので、段階的にパーツを継ぎ足していき消失点について書いていきたいと思います。



ということで、まずは凹型構図上でもっとも高くなる位置を決定します。

(水草が低床に植わっていないようになっていますが、灰色部分は前提条件②の位置を表現しているだけで、ここから水槽奥に向かって、この画像程度低床の厚みを増やしていくように盛り上げていきます)


素材がいくらでも手に入る場合は、流木や石などを積み上げることで高さをだしていきます。

世界水草レイアウトコンテストの凹型構図水槽を想像していただくと言いかと思います。

水面ギリギリまで素材などを積み重ね、そこにソイルを盛り込んで水草を植栽しています。


しかし、それではコストが掛かりすぎるばかりではなく、低床の厚みが出すぎるので長期維持に向かない水景になってしまいます。

そこで今回は後景草のトリミングラインをより水面ギリギリにすることで高さを出して行きます。

この時、水草の頂芽が消失点として決めた赤丸よりも絶対に高い位置にくるように設定してください。



挿し色になる水草も後景へ植えていきます。

このとき、消失点とほぼ同じ高さかそれより少し高い位置が最高到達点となるようにトリミングしていきます。

また、水草は後景位置に植えるのですが、中景を育てるようなイメージで育ててください。



流木を配置します。



流木はなるべく幹系などの太くて大きい物を利用し、少し凹部分に向かってせり出す様な素材を使うと陰影が生まれるので、引き締まった水景を作ることができます

(黒斜線部分に陰影があると引き締まる)




水槽を上(水面方向)から覗き込んだとき、流木は消失点として決めた方向へ向かって八の字を書くように斜めに配置します。

水槽ガラス面と流木の間にはすこし厚めに低床を盛り、傾斜角を作ります。



中景草(表現的に中景草とします)は、流木と低床のつなぎ目を隠すために植えます。



上から見るとこんな感じのイメージとなります。

この際、手前の水草はテンプルプラントやロベリアカーディナリスなどの少し葉が大きく育つ水草を植栽し、奥に行くにしたがって前景草などに使われる水草にチェンジしていくといいです。


同じ種類の水草で矮小品種などを使って遠近感を出すのも常套手段となります。

例、アヌビアスナナ→ミニ→プチ。


思っているよりも大げさに水草のサイズを変えていかないと、短い距離で奥行き感を演出できないです。

大胆に行きましょう。




挿し色になる水草も植えていきます。

流木が大きく、影となる部分が大きい場合は緑とオレンジのパーツを入れ替えてもいいです。



ひっそりと育つクリプトに影が落ちると、そこから先に洞窟などがありそうな印象を与えることができます。

凹型構図では、影をうまく活用しましょう。



このあたりは好みにもよりますが、最後は石を配置していきます。

このときも水槽手前側には大きめの石を、水槽奥には小さめの石を配置することでこれでもかと遠近を強調していきます。


低床と重なる部分が大きい石は本当に目立ちにくい色合いの物を選択すればするほど大胆なサイズ感を選んでいきます。

例、山谷石、溶岩石などの黒や灰色が主体の石は手前ほど大きめ選択。

例、木化石、黄虎石などの派手な色が主体の石は水景前面に余りにも大きい石を配置するとそこが注目点となってしまい、消失点への目線誘導が難しくなります。



さて、これで凹型構図の単純化は終わりです。

最後に凹型構図のレイアウトにおける注目ポイントをまとめ、さらにさらに簡素化します。


注目ポイント
・消失点を意識
・陰影を強調。
・手前ほど大胆に大きく、奥に行くにしたがって大胆に小さく。


この3点を大事に、レイアウトしてみてください。





「この先に、いったい何が待ち受けているというのだろうか。いや、むしろ何もないかもしれない」


「それでも体が、無意識が私の足を進める」

「なにも無くてもいい。ただそこにたどり着きたい。そう思わせる何かがこの先にはあるのだ」



なんて妄想しながらレイアウトを組むのも楽しいかもしれません。





最後はいつも通り、管理人の個人的派生レイアウト例を考えていきます。

流木を追加しますが、この際も意識するのは手前ほど大きく、奥に行くに従って小さくです。

ですので、流木の場合は手前は太い幹枝系を採用し、奥に行くに従って細い枝状流木を使います。

また、流木組みの場合は枝と枝がなるべく重ならないよう、互い違いになるよう配置していくと枝の細さが比較できるので、より遠近感を感じさせるレイアウトになります。



水草を巻きつけたりして完成となります。

アヌビアスなどの活着水草を巻き付け育てると、そのうち水中へ根を伸ばしてきます。

こういった根が垂れ下がってくるようになると、よりいっそう鬱蒼とした小道や密林の渓谷を歩いているような水景を再現できます。


定番種になりますが、ボルビティスヒュディロティならば少し下向きに垂れるように葉を展開していくので森の中の小川などに感じる雰囲気を出せます。


この凹型構図は60cm水槽で採用するには、なかなか難易度の高いレイアウトかもしれません。

ですが、素材と水草のサイズ感をうまく生かして綺麗なレイアウトを作れたとき、小説の一ページをめくるような、そんな世界を見ることができるかもしれません。


さて、今回はここまでとします。
また次回の記事にて。
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思いのたけを走り書き。

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